ブロック検知型信号機の開発とsetblock方式閉塞に関する試験
現状の信号の問題点
いつの日もRealTrainMod回路屋を悩ませているもの、それが閉塞信号です。
我々の瀬田鯖運転会でも、第一回から倉急烏倉線で閉塞信号を実装。第二回までに2回の仕様変更を経て、現在は倉急3型閉塞信号が稼働しています。
しかしこれがほ と ん ど信頼できないのです!!
細かい仕様については説明を省きますが、この原因は4つほどあります。
1.RTM車両検知器の信頼性が低いこと
2.RTMワイヤの信頼性が低いこと
3.回路が頭悪い
4.Wireless Redstoneの信頼性が低いこと
まず1について。
RTM車両検知器は線路上の車両当たり判定を拾う仕様だと考えられますが、これが厄介で、場合によっては付近の違う列車を検知してしまうのです。
瀬田鯖運転会では指令室の在線表示上で逆走が起き、何かと思えば対向車を検知していた、ということもありました。
そしてこのバグは再現できないというのが、最大の悩ませどころです。
そして2。
これも全く再現できないバグなのですが、時たまRTMワイヤ部分で信号の送受信が止まっている場合があるのです。おのれワイヤ......。一説には、チャンクを跨ぐワイヤで不具合が起こる、という話もありますが真偽のほどは確かめられていません。
3はというと......。
うん......これは......根っからの回路屋じゃないのでどうしようもないのですが、一番の問題点は、例えばRTM信号の1→0と0→2の処理を同時にやっている点なのです。普段は信号機で停止→警戒と表示できる所を、ラグで1→0の処理が少しでも遅くなった場合、信号機は消灯してしまうのです。ここは回路の要改善点ですね。
さらに4について。
Wireless redstoneの送受信は、チャンクの読み込み具合によって届く場合と届かない場合があるのです。瀬田電鉄管内ではポイント不転換が多発し、遅延の原因にもなっていました。
また番号によって頻度は変わるのですが、信号ノイズを拾うことがあります。このためポイント部では、列車通過中にノイズを拾ったことで泣き別れ事故が起きています。
水音信号システムと倉急が考える、理想の回路
我々はここ3回の運転会を経て、いくつかの回路を運用しました。そこで得た結論は、既に研究が進んでいるProjectRed中心の回路は使い物にならないかも!? というものです。
長時間にわたる起動試験やDynmapでの閉塞管理など......実運用では騙し騙し使っているのですが、やっぱりなるべく楽にしたい! 回路にもしっかり働いてほしい!
そこで回路に関する目標は概ね以下のようになりました。
1.チャンクローダーを使わない
→瀬田鯖ではチャンクローダーを使ったところ、サーバーが極端に重くなってしまいました。そのため鯖民からの理解を得られず、導入を断念しています。ここが他鯖での連動回路と一線を画す部分かもしれません。
2.ワイヤを使わない
→チャンクロード外となるワイヤ部分を減らすことで、回路全体の信頼性を上げることができると考えられます。
3.車両検知器を使わない
→車両検知部分がカーブ等に向かない検知方式であるほか、ワイヤを減らすためにも、なるべく使わない方策を検討しています。
4.Wireless redstoneに頼らない
→無線の回線番号を選ぶことで信頼性を上げることもできますが、回線数は上限が決まっています。サーバーの場合ではこれを各社に分配してしまうため、余裕はありません。
しかしこんな回路なんて本当に作れるんでしょうか――?
......できました
それはコマンド「/setblock」を使う方式。咲島スタンプラリーにて、踏切などの連動回路に用いられました。
咲島スタンプラリーでは参加者に配慮してmodを大幅に減らしたため、ProjectRedなどが使えない状況でした。そこで指令を担当したmeitetsu600Vは、setblock方式を採用。
これはコマンドでレッドストーンブロックなどを置いたり消したりすることで、回路を動かすという方式です。Wireless redstoneの代わりというわけです。
この方式の信頼性の高さは、40人ほどの参加者の方々には実地で見ていただけたと思います。ヤッパバニラダッタンジャナイッスカネー
チャンクロード外でも比較的正常に動作します。一部上手くいかないところもありますが、中継点を設けるなどで解決できるので、今までの回路よりはるかに御しやすいものです。
これで理想の回路のうち1と4は達成できそうです。
残るは2と3...。
今までも二灯式であればRTM照明のシステムを使うことで2番を達成できました。これは照明のon/offを信号の2現示に割り当てるというもので、瀬田鯖第二回運転会で瀬田電鉄管内に導入されていました。
しかし今回、全く新しいアプローチで多現示を実現する方策が見つかりました!
水音信号システム製 ブロック検知型信号機
基本的な仕組みは動画の通りで、直下に置かれたブロックによって現示が変わるというもの。もはやワイヤは要りません。
システムとしては、直下32ブロック以内に置かれたブロックのメタデータを読み取り、信号の表示を変えています。これはhi03さん制作の発車標システムから発展したものです。
▼配布ページはこちらから▼
これをsetblock方式とあわせることで、閉塞信号を簡単に作ることができます。方法は以下の通りです。
setblock方式閉塞を試験してみる
というわけで、meitetsu600Vとたこたこ焼きでsetblock方式の閉塞信号を試してみることにしました。
meitetsu600Vはブロック検知型信号機を用いた閉塞信号、たこたこ焼きは倉急3型閉塞回路のうち送受信をsetblockに変えたものを試します。
まずは倉急3型閉塞。1機分の回路は肥大化しましたが、送受信をその場でできるので指令室が要らず、結果的にコンパクトになっています。
次にブロック検知型信号機。こうして比べてみるとそのコンパクトさがよくわかります。これまた閉塞回路に関して指令室は要りません。
そして作っていくうちに分かったことが......。
ブロック検知型の方が明らかに敷設が早いのです!
たこたこが3時間で5閉塞分作る間に、meitetsu600Vは12閉塞を完工。敷設効率は2倍以上です。3時間で12閉塞を作れるのであれば、閉塞信号の敷設ハードルは大きく下がります。
こうしてできた閉塞信号が以下のようなものです。
これは比較的正常に動作している部分で、一部setblockの挙動により正常動作しない部分もありました。しかし消灯しないという利点が改めて浮き彫りになった形です。たとえ正常動作していなくとも、消灯していなければ現示パターンから先を見通せます。
一方の倉急3-3型でも、setblock方式によって多少の改善が感じられました。やはり送受信の懸念材料が減ったというのは大きいようです。
今後は3月の瀬田鯖運転会に向けて、それぞれ実地での実証実験を重ねていくことになります。
ブロック検知型信号機の使い道
閉塞信号向けとして開発された今回の新信号機ですが、他にも使い道がありそうです。
まずは単線閉塞の導入。
従来単線用の閉塞信号は、逆方向の列車を検知しないためのシステムが必要でした。ところがこの信号機では、ちょいとひと手間加えるだけで複線用の閉塞回路を使えます。
この信号機は直下のブロックのうち、より近いブロックの情報を拾います。つまり方向てこと連動して、最上段に赤信号を出すブロックを置くようにすれば、単線で使える閉塞信号になるのです。
次に進路表示機。
今まではWireless RedstoneやRTM信号に頼らざるを得ず信頼性が低くかったのですが、この方式を用いれば信頼性を大きく向上できるほか、表示パターンも増やせます。
このブロック検知型の信号機は、RTM信号界においてまさしくゲームチェンジャーとなりそうです。
(執筆:たこたこ焼き)
Можно ли как-то эту систему у вас попросить с целью изучения и демонстрации русскому комьюнити RTM?